ショートストーリー

2/2ページ
  • 2025.01.31

いつも君に初めて会う

彼女の名前を、僕は知っている。 けれど夢の中で彼女に会うとき、僕はいつもその名前をすぐには呼ばない。呼べば、彼女が困った顔をするからだ。 彼女は僕を知らない。少なくとも、そういう顔で僕を見る。 知らな […]

  • 2023.07.10

もうひとつの朝

彼が先に起きていた。 台所から、味噌汁の匂いがする。窓の外はまだ薄い朝で、カーテンの端だけが白く光っていた。私は布団の中で少しだけ目を閉じ直し、包丁がまな板に当たる音を聞いていた。 「起きてるなら、手 […]

  • 2023.03.30

鏡の森で、もう一度

彼女は毎朝、鏡を見る。 髪を整え、顔を洗い、薄く口紅を引く。そこまでを終えると、いつも少しだけ鏡の前に残った。何かを確かめたいわけではない。ただ、そこに映っている自分が今日も自分なのか、念のため見てい […]