ショートストーリー 2026.06.13 輪郭のない町 何度も夢で訪れる、地図にない町。そこには顔見知りの住人がいて、行きつけの喫茶店まである。ある日、現実で初めて会った年上の男に、夢の町の喫茶店のことを尋ねられる。 続きを読む
ショートストーリー 2026.06.13 返却期限 雨は前触れもなく降りはじめた。沢井は鞄で頭をかばいながら走り、目についた古い石造りの建物に駆け込んだ。入口の脇に小さな銅板があり、図書館、とだけ彫られている。聞いたことのない私設図書館だった。 中は静 […] 続きを読む
ショートストーリー 2026.01.21 幸せのタネをまく木 山田家のリビングにいるガジュマルは、夜になると鉢から抜け出して小さな幸せのタネをまく。静かな家の中で起こる、やさしいショートストーリー。 続きを読む
ショートストーリー 2025.03.21 世界とボタン 靴の中で、何かが指先に触れている。中敷きのズレでも、石ころでもない。もっと異質だ。冷たい。硬い。存在感だけが強い。朝の眠気の中でも、確実に「異物だ」とわかる。 立ち止まって、靴を脱ぐ。中に転がっていた […] 続きを読む
ショートストーリー 2025.02.21 風は貨幣を知らない 私はずっと、お金の匂いがわかる人間だった。 財布を開いたときの、あのインクと繊維が混ざった微かな匂い。硬貨が手のひらに残す金属の残り香。それが濃い日は安心し、薄い日は夜が長くなった。 お金があるときに […] 続きを読む