セフィロトの樹(セフィラの樹、ツリー・オブ・ライフ)とは、カバラと呼ばれるユダヤ教の神秘主義において、神の創造のプロセスを表現するシンボルである。セフィロトとはヘブライ語で「数えるもの」を意味し、樹とはセフィロトを繋ぐ10の節目を枝葉状に結びつけた形状から名づけられた。セフィロトの樹は、神が自己表現するために創造した世界の全体像を表現しており、10のセフィラ(節目)を通じて、創造の過程や宇宙の階層構造、人間の魂の成長の過程などを表現している。また、セフィロトの樹は、人間の内面世界や宇宙の根源的な原理を理解するための道具としても用いられる。
セフィロトの樹には、上から順に、以下のようなセフィラが配置されている。
クテレト(冠)
ホクマ(知恵)
ビナー(理解)
ケテル(王冠)
ホセデ(慈愛)
ゲブラー(力)
ティファレト(美)
ネツァフ(栄光)
ホド(調和)
イェスォド(基礎)
これらのセフィラは、中央のピラー、左のピラー、右のピラーの3本の柱にそれぞれ配置されており、それぞれの柱が象徴する概念に沿って、人間の内面世界や宇宙の構造が表現されているとされる。また、セフィロトの樹には、中央のピラーを通じてバランスが保たれることが重要視され、人間が魂の成長を遂げるためには、セフィラのエネルギーをバランスよく取り入れることが求められるとされる。
また、セフィロトの樹には、それぞれのセフィラに対応する神聖な名前や天使たちが存在し、それぞれのセフィラに関連する意味や力を象徴している。
セフィロトの樹は、人間の魂の成長においても重要な役割を果たすとされている。例えば、慈愛や調和といったセフィラのエネルギーを取り入れることで、自己愛や攻撃性といった負の感情を和らげることができるとされる。また、セフィロトの樹は、神とのつながりを深め、より高次の存在との交流を可能にするためのツールとしても用いられる。
セフィロトの樹は、カバラを学ぶ者たちにとって、内面の深い探求や神秘的な体験を得るための枠組みとしても利用される。セフィロトの樹を瞑想の対象として用いることで、内面に存在するエネルギーや意識の深層にアクセスし、より高次元の自己理解や成長を促すことができるとされる。