一粒万倍日なのに仏滅。開運日は、何を基準に選ぶ?

一粒万倍日なのに仏滅。開運日は、何を基準に選ぶ?

一粒万倍日を調べたら、同じ日の欄に「仏滅」もある。天赦日まで重なっていて、おめでたいのか避けたほうがよいのか、かえって迷ってしまう。開運日のカレンダーを見ていると、こんな食い違いに出合います。

窓辺でカレンダーを見ながら日取りを考える水彩イラスト

吉と凶が重なるのは、別々のルールで付けた日名が、一枚のカレンダーに並んでいるからです。実際の日付を一つ取り上げると、その仕組みが見えてきます。

大安・仏滅と、一粒万倍日は決め方が違う

大安や仏滅は「六曜」という六つの日名の一つ。一粒万倍日や天赦日も日々の吉凶を示しますが、六曜とは決め方が違います。こうした、暦に添えられた吉凶や行動の目安を「暦注」といいます。

国立国会図書館の「日本の暦・六曜」によると、六曜が日本に伝わったのは14世紀ごろで、広く使われるようになったのは幕末以降。名前や順序も、長い間ずっと同じだったわけではありません。現在よく見る並びは、先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口です。

六曜は、旧暦の各月の一日に置く日名が決まっていて、そこから順に繰り返します。一粒万倍日は季節の区切りと日の十二支、天赦日は四季と日の干支を見て決まります。では、同じ一日に当てはめるとどうなるでしょう。

2026年10月1日を、三つのルールで読んでみる

たとえば、2026年10月1日の暦には、一粒万倍日・天赦日・仏滅が並びます。この日は木曜日で、旧暦では8月21日。干支は年だけでなく日にも割り当てられていて、この日は戊申(つちのえさる)です。

暦注判定に使うものこの日に当てはめると
六曜旧暦の月・日旧暦8月1日の友引から20日進み、仏滅
一粒万倍日節月と日の十二支白露から寒露までの八月節で、申の日に当たる
天赦日季節と日の干支立秋から立冬までの秋で、戊申の日に当たる

六曜の数え方から見てみましょう。旧暦8月1日は友引です。そこから20日進むと、六つの名前を3周して、さらに二つ先へ進みます。友引、先負、仏滅。旧暦8月21日が仏滅になるのは、この数え方によります。

一粒万倍日について、国立国会図書館の「雑節・選日」は、八月節には卯と申の日を挙げています。ここでいう八月節は、現在の8月1~31日ではありません。季節を表す二十四節気の白露(はくろ)から寒露(かんろ)まで、例年9月上旬から10月上旬にかけてが区切りです。10月1日もその範囲に入り、この日は申の日なので一粒万倍日になります。

天赦日は、天が万物を許す日として、何事にも吉とされる日です。季節ごとに該当する干支が決まり、秋は戊申の日に当たります。10月1日はこの条件も満たすため、仏滅でありながら、一粒万倍日でも天赦日でもあるのです。

一粒万倍日は「何をしてもよい日」なのか

一粒の種が万倍にも実る。一粒万倍日の名前は、新しいことを始める日に選びたくなる響きを持っています。暦の言い伝えでは、種まきや商売の始まりなどに向くとされてきました。

ただ、その「増える」という意味は、よいことだけに当てはめられたわけではありません。借り入れなどには向かないとする説明もあります。「増えてうれしいもの」と「増えると困るもの」を分けていたわけです。

一粒万倍日の選び方にはもともと二通りあり、現在は併用されていると国立国会図書館は説明しています。先ほどの八月節なら、一方が卯の日、もう一方が申の日。どちらも合わせて一粒万倍日とするため、一つの節月の中に何日も現れます。

吉日と仏滅、どちらを優先すればよい?

暦注を見比べても、「吉が二つ、凶が一つなら吉」と数える共通の決まりはありません。国立国会図書館も、六曜の解釈はさまざまで、どれが正しいか一概にいえないとしています。カレンダーには複数の目安が載っていても、最後の優先順位までは書かれていないのです。

日取りを選ぶなら、まず何のための日かをはっきりさせると考えやすくなります。自分一人で使い始める手帳なら、気に入った吉日を選ぶのも楽しみの一つ。式や集まりのように複数の人が関わるなら、自分が気にする暦注と、家族が気にする暦注が違う場合もあります。

式の日取りなら、まず集まれる候補日を出してから、暦を見ながら相談する方法があります。一粒万倍日を選びたい理由も、仏滅を避けたい気持ちも話しておく。そのうえで、どこまで合わせるかを決めれば、暦の優劣だけを争わずに済みます。

すべての凶の文字を避けようとすると、日取りはなかなか決まりません。自分の節目にしたいのか、家族にも喜んでもらいたいのか。どんな一日にしたいかを考えたうえで選ぶなら、暦をめくる時間も楽しめそうです。